クラウドベースのカスタマーサービスソフトウェアを提供するZendesk(ゼンデスク)の日本法人である株式会社Zendesk(本社:東京都中央区、社長:冨永 健)は、本日、全世界を対象に調査を行った「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2023年版)」を発表しました。その中で、ブランド各社が競争力を維持し、顧客ロイヤリティを確保し続けるためには、「スマートな顧客体験」が急速に重要な差別化要因になりつつあることが明らかになりました。
アジア太平洋地域全体で経済の不確実性が続く中、ビジネスリーダーの68%が、顧客サービスを通じて企業のレジリエンスを強化することが最優先事項であると同意しています。日本では、約5人に3人(59%)のビジネスリーダーが、景気に不透明感がある中、優れたカスタマーサービスを提供することがかつてないほど重要になると考えており、世界各国のビジネスリーダーの79%も同様の回答を行いました。
顧客からの期待が高まり続ける中、企業はCX戦略や顧客との関わり方を再定義する必要があります。とりわけ、「スマートな顧客体験」のような新たな基準が登場すると、その必要性が高まります。これは、消費者がブランドに対して何を強く期待するようになったかに起因しています。今日の消費者は、自分がいる場所で、自分が望む方法で、シームレスで魅力的な対話を通じて、ブランドが自分自身に向き合ってくれることを求めているのです。ビジネスリーダーたちは過去数年間を経て、こうした顧客の変化によってCXの役割が拡大することを理解し、顧客の要求に応えられるように大規模な投資を行うようになりました。
Zendeskの最高技術責任者(CTO)のエイドリアン・マクダーモット(Adrian McDermott)は、「顧客はブランドに対して大きな期待を抱いているものの、決して我慢強くはなく、どのブランドを選ぶかに関してはより多くの選択肢を持つ傾向があります。今年のCXトレンドレポートでは、消費者たちのこうした行動変容が、企業のリーダーたちにスマートでシームレスな顧客体験を実現するテクノロジーへの投資を促していることが示されています。このようなカスタマーサービスにおける新たな基準は、顧客獲得とロイヤリティ、そして収益性を高めるためには必要不可欠です」と述べています。
また、Zendesk日本法人社長の冨永健は、「現在DXの真っただ中にいる日本企業は、厳しい競争環境の中、ROI(投資利益率)を高め、競争力を維持するためには顧客体験を強化する必要があることを認識しています。DXの一環としてAIと自動化を取り入れ、より良い顧客体験を提供して優位性を獲得するとともに、収益を伸ばし、業務効率を高め、長期的なコスト削減を実現することが、他社との差別化につながるはずです」と述べています。
本年次レポートは、日本を含む世界20か国、約3,700名の消費者と4,700名以上のカスタマーサービスおよびカスタマーエクスペリエンス担当責任者、エージェント、テクノロジーバイヤーからの回答をもとに作成されました。また、Zendeskのベンチマークプログラムに参加した、中小企業から大企業までを含む全世界の約10万社のZendeskのユーザー企業から収集したデータで構成されています。 調査では、「スマートな顧客体験」を提供するためには対話型サービス、パーソナライゼーション、人工知能(AI)、顧客満足度と感情分析、そして企業内の部門の垣根をこえたスムーズな連携が欠かせない要素であり、CXの未来を形成するものであることが明らかになりました。
対話型の体験が消費者を豊かにする
消費者は、現在よりも多くの対話型のサービスを求めています。それは、より流動的で、親しみやすく、自然な対話を通じて、自分の仕事や生活の邪魔にならないサポートを求めているからに他なりません。例えば、対話を一旦中断した後でまた再開する場合でも、新しいサポート担当者が前回の対話の続きを簡単に引き継ぐことを期待します。実際、世界の消費者の70%が、すべての顧客接点においてシームレスなオムニチャネル体験を提供する企業に対して、より多くの支出を行っています。同様に、世界の消費者の66%は、あるチャネルで対話を開始した後で、別のチャネルでも同じことを繰り返す必要なく対話ができる企業に対しては、より多くの支出をする可能性があると回答しています。
顧客が抱いている期待はこれ以上にないほど明確ですが、企業はまだそれに応えることができずにいます。グローバルでは、60%の企業が対話型カスタマーサービスを導入するつもりはあるものの、まだ導入には踏み切っていません。現在、グローバルリーダーの71%、日本のリーダーの半数近く(49%)が、カスタマージャーニー全体を見直し、よりスムーズな顧客体験を構築し、顧客がいつでも一人ひとりに最適な方法でその恩恵を得られるようにしようとしています。
消費者はより深いパーソナライゼーションを熱望している
多くの企業は、パーソナライゼーションの意味や提供方法について、いまだに狭い視野で捉えており、それは今日の消費者が考えるパーソナライゼーションとは相容れないものです。調査によると、パーソナライゼーションに対する顧客の期待は、多くの企業が認識している以上に深く、高度なものであることが明らかにされています。実際に、世界の消費者の62%は、ほとんどの企業のオンライン体験はもっとうまくパーソナライズできるのではないかと感じており、日本のビジネスリーダーの57%も同様に、より深いパーソナライゼーションが顧客との長期的な関係につながると考えています。
消費者はAIに進化を求めて(かつ期待して)いる
AIへの投資が増えたことで、チャットボットとのやり取りが一般的になり、消費者はその存在をより身近に感じるようになりました。グローバルデータで見ると、調査対象となった企業の65%が、過去12か月の間でAIとチャットボットのパフォーマンスが大幅に向上し、より自然で人間らしい存在になったと回答しています。しかし、AIとチャットボットの統合が業務上の最優先事項の一環だと回答した企業は、世界平均が72%であったのに対して、日本企業ではわずか16%に留まりました。本結果から、日本企業は今後、時間の経過とともにAIが顧客との対話にもたらす価値を認識しはじめるであろうことを読み取ることができます。
今日の消費者は、AIがどのように進化するべきかについて明確な考えを持っています。また、チャットボットによる豊かな体験を重ねるにつれて、期待も高まっています。世界の消費者の64%は、チャットボットが人間と同レベルのサービスを提供することを望んでいるのです。AIの理想的な進化とは、企業が顧客と行う対話の中で、いくつもの複雑な質問を処理できるようになり、最終的には音声ベースのAIと合成エージェントをCXサービスの中に統合することです。
エイドリアン・マクダーモットは、「AIを活用した未来のカスタマーサービスでは、人間のオペレーターによるサポートとほぼ同じ方法でAIが問題を解決してくれるだろうと消費者が考えていることは明らかです。しかし、そうした期待に応えるには、より一層の努力が必要です。多くの消費者は、企業が少しずつ変化していくのを待っている訳ではありません。変化を迅速に起こしてほしいというシグナルを発しているのです」と述べています。
顧客満足度と感情分析がCXを改善する
残念ながら、企業はいまだに顧客の感情を理解するのに苦労しており、多くの企業が顧客の満足度向上のための努力を行ってきましたが、大きな成果を上げることはできませんでした。例えば、世界のカスタマーサービス担当者の2人に1人(53%)は、組織の全体的なCXが往々にして顧客のネガティブな行動を引き起こしていると回答しています。とりわけ、企業は顧客の感情データを秩序だった方法で追跡できていないため、世界全体のリーダーやマネージャーのうち、顧客感情を分析して顧客が受ける体験をパーソナライズできていると回答した割合はわずか29%にすぎません。実際は、世界の消費者の59%が、企業が収集した自分自身のデータを使って体験をパーソナライズすべきだと考えています。日本では、ビジネスリーダーの5人に2人(41%)が、顧客体験をパーソナライズするために十分な顧客データを収集していないと回答しており、取り組むべきギャップがまだ残っていることが分かります。
企業とのネガティブな体験は、顧客満足度に長く続く大きなダメージを与える可能性があります。実際、世界の消費者の73%が、満足できない対応を何度か受けたとしたら、競合他社に乗り換えると回答しています。また、およそ2人に1人(52%)は、一度でも満足できない対応を受けたら利用を切り換えると回答しています。また、日本の消費者の半数近く(49%)も、一度でも好ましくない体験をしたら競合他社に乗り換えると回答しました。この数字は、昨年の割合(38%)よりも上昇しており、日本の消費者が質の良くないCXに対してさらに不寛容になりつつあることを示しています。
CXが進むべき道
CXリーダーは、「スマートな顧客体験」がもたらすメリットをますます意識するようになり、サポート部門が顧客データやフィードバックを通じて収益を上げることが可能であることを理解するようになりました。しかし、世界中の企業でCXへの対応は遅れており、社内の垣根をこえてチーム間で顧客データを十分に共有していると回答したビジネスリーダーはわずか22%に留まりました。日本では、顧客データの単一ビューを開発しているビジネスリーダーはわずか16%であり、データドリブンな意思決定を業務上の優先事項としているリーダーも26%にすぎません。
地域全体で予算が縮小する中、企業はCXに関する考え方を改め、カスタマーサービスが収益の原動力として果たす役割を今一度見直す必要があります。サービス部門をコストセンターと見なしているグローバルリーダーの77%は、サービス部門を収益の原動力にできると回答し、64%は、CXに関連する複数のチームと責任を統合しようと計画しています。
エイドリアン・マクダーモットは、「今後、レジリエンスを高め、不確実性に対処するために、優れた顧客体験を提供することがさらに重要になるでしょう。テクノロジーに投資し、シームレスでスマートなCXを提供する企業が、顧客獲得とロイヤリティを高め、最終的には収益性を向上させることができるでしょう」 と述べています。
「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2023年版)」の詳細とダウンロードページは、こちらをご覧ください。
調査方法
「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2023年版)」は、2022年7月から8月にかけて、20か国、約3,700人の消費者と、4,700人以上の中小企業および大企業のカスタマーサービスリーダー、エージェント、テクノロジーバイヤーを対象に実施した調査の結果です。調査サンプルの偏見を排除するため、各調査の結果は加重平均されています。Zendeskベンチマークの製品利用データは、Zendeskベンチマークに参加している全世界10万社以上のZendeskユーザー企業から収集されました。本Zendeskベンチマークデータは、2021年7月から2022年7月までの製品利用状況に基づいています。