ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー(本社: 兵庫県神戸市、カンパニープレジデント: 中島 昭広、以下「ネスレ ヘルスサイエンス」)は、同居家族の在宅介護を行う方(以下、「在宅介護者」)500 名を対象に、「在宅介護に関する調査」を実施しました。
総務省が2022年9月に発表した資料によると、総人口が減少する中で、65歳以上の高齢者人口は3,627万人と過去最多を更新し、総人口に占める割合は29%となりました。さらに、日本の要介護・要支援認定者数は、2000年4月に制度が創設されて以来約2.7倍に増加(※1)しました。また、介護サービス受給状況に目を向けると、2019年と2022年を比較した場合、「施設サービス」はほぼ横ばいであるにも関わらず、「居宅サービス」は利用者が増えており(※1)、介護を受けながらご自宅で過ごす高齢者が年々増加傾向にあります。
(※1)介護保険事業状況報告(暫定)令和4年11月分(厚生労働省)
急速に進行する超高齢社会における在宅介護の現状を把握することを目的に実施した今回の調査の結果、在宅介護をする上で、転倒や誤嚥(※2)・喉のつまりなどに不安を日々感じており、特に食事に関することは、手間がかかる介護でありながらも安全・安心に摂ってほしいという慎重な心理が見られ、その乖離から「食事関連」が介護者にとって最も多い不安要因であることがわかりました。
(※2)誤嚥(ごえん):飲食物や唾液を飲み込んだときに気道(気管)に入ってしまうこと。
【調査結果サマリー】
■在宅介護者の8割以上が「不安」を抱える中、要因は1位「食事関連」、2位「トイレ介助」、3位「睡眠時の安静状態/見守り」、「移動・歩行介助」と続く。
■要介護者の食事に関して、「おいしさ」、「楽しみ」をおさえ、「事故なく、安全に食べてほしい(66%)」が最多。
■介護にかける時間は「食事介助(平均36.9分)」が、「歩行介助(平均55.9分)」に続き2位に。
■「自分で栄養計算を行っている」という在宅介護者は約3割。
■在宅介護者の約6割は食事に関する「外部サービスなどを利用」。
【調査結果】
1. 在宅介護者の8割以上が「不安」を抱える中、要因は1位「食事関連」、2位「トイレ介助」、3位「睡眠時の安静状態/見守り」、「移動・歩行介助」と続く。
数ある介護の中で2人に1人が食事関連の介護に不安を抱えていることがあきらかに。
在宅介護者に対し、“在宅介護の不安”の有無を聞いたところ85%が「不安がある(85%)」と回答しました【図1】。具体的な「不安」の内容は、1位「食事介助(47%)」、2位「トイレ介助(35%)」、3位「睡眠時の安静状態/見守り(33%)」、「移動・歩行介助(33%)」となりました【図2】。自由回答では「誤嚥」「誤嚥性肺炎」「喉のつまり」など、主に飲み込みについての不安がみられ、他にも移動時の転倒や睡眠時の安静など、要介護者の安全に関して特に不安を感じていることがわかりました。
【図1】
【図2】
2. 要介護者の食事に関して、「おいしさ」、「楽しみ」をおさえ、「事故なく、安全に食べてほしい(66%)」が最多。
要介護者の食事について望むことに、安全志向が強いことが浮き彫りに。
在宅介護者に、“要介護者の食事”について聞いたとろ、1位「事故なく、安全に食べてほしい(66%)」、2位「おいしく食べてほしい(57%)」、3位「食事を楽しんでほしい(46%)」と“食の楽しみ”を“安全”が上回り、要介護者に安全に食事をとってほしいと考えている在宅介護者が多いことがわかりました【図3】。
【図3】
3. 介護にかける時間は「食事介助(平均36.9分)」が、「歩行介助(平均55.9分)」に続き2位に。
頻度でも「食事介助」は一週間に8回以上と、数ある介護の中でも多いことがわかった。
在宅介護の“1回当たりにかけている平均的な時間”は、全体で24.5分、具体的な項目別にみると1位「歩行介助・外出介助(55.9分)」、2位「食事介助(36.9分)」、3位「(要介護者の衣類の)洗濯(35.2分)」という結果でした【図4】。また、「1週間に8回以上」と頻度が多いのは、「食事介助(43%)」「排泄介助(43%)」が上位であり、負担の大きさが読み取れます【図5】。特に「食事介助」は、1回にかかる時間も長く、また頻度も高いことがわかりました。今回の調査の回答者の約6割が介護と仕事を両立していることから、「歩行介助・外出介助」や「食事介助」をはじめとした在宅介護にかける時間が生活の中で大きな割合を占めていることがわかります。
【図4】
【図5】
4.「自分で栄養計算を行っている」という在宅介護者は約3割。
栄養にも気を使いたいが自身では難しい現状。
“要介護者の食事の栄養計算”について、「自分でしている(30%)」、「自分以外の人がしている(23%)」、「していない(47%)」との結果になり、在宅介護者自身では栄養計算までは踏み込めていないことがうかがえます【図6】。
【図6】
4. 在宅介護者の約6割は食事の外部サービス・製品を利用。
食事に関する介護負担を軽減するような工夫が見られた。
“現在利用しているサービスや製品”では、「入浴介助(デイサービス、在宅介護サービス)(62%)」が最も多く、「食事に関するなんらかのサービスを頼んでいる(57%)」が続くという結果になりました【図7】。食事関連でどのようなサービスを頼んでいるかは、「デイサービスの昼食を利用(50%)」が多く、次いで、「介護サービスに食事の用意を頼んでいる(17%)」、「介護サービスに食事の介助を頼んでいる(16%)」という順で【図8】、必要に応じ外部サービスを依頼し、負担を軽減する工夫をしている様子がみられます。
【図7】
【図8】
今回の結果から、在宅介護において不安を感じながらも、安全に配慮しつつ在宅介護をおこなっている様子、また負担軽減のために外部の介護サービス・製品などを活用している実態がわかりました。日本における超高齢社会の急速な進行、介護を受けながらご自宅で過ごす高齢者の増加に伴い介護サービスや関連製品の市場が盛況している一方で、まだ活用に至っていない家庭があると考えられます。
「栄養を通じて健康的な人生をサポートします。」をミッションとして掲げ、あらゆるライフステージをサポートする幅広いブランドを保有し、人々の健康的な生活をサポートしているネスレヘルスサイエンスは、今後も要介護者、介護者双方のQOL(生活の質)の向上のために活動してまいります。
【調査概要】
調査名:在宅介護に関する調査
調査時期:2023年2月
調査手法:インターネット調査
調査数と対象:要介護度3~5を持つ家族と同居し、在宅介護を行う40-79歳 男女 合計500名
(内訳:有職者64%、専業主婦・主夫・定年退職・年金生活30%、その他6%)
※本リリースの調査結果や分析をご掲載いただく際には「ネスレ ヘルスサイエンス調べ」とご記載ください。
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