• リサーチ
  • オンプレミスからクラウドへの移行でネットワーク関連の炭素排出量を最大96%削減 クラウドフレアがレポート公開

  • 2023/09/30 0:00 公開  編集部
  • セキュリティ、パフォーマンス、信頼性を備えたより高度なインターネットの構築を支援するCloudflare(クラウドフレア)は、独立系調査機関・Analysys Mason(アナリシスメイソン)が発行した新たなレポートを公開しました。

    本レポートでは、企業のネットワークサービスをオンプレミスからCloudflareのクラウドベースのサービスに切り替えることで、ネットワーク関連の炭素排出量を大企業では最大78%、中小企業では最大96%削減できることが明らかになりました。これは、企業のネットワークとセキュリティのハードウェアをより効率性の高いクラウドサービスに置き換えることで達成できる排出削減量の可能性を数値化した初の取り組みです。

    オンプレミスからクラウドへの移行でネットワーク関連の炭素排出量を最大96%削減 クラウドフレアがレポート公開

    現在、世界中で排出される二酸化炭素量の3.7%を占めるのが、インターネット利用によるものです。これは、全世界の航空輸送における二酸化炭素の排出量に匹敵します。世界中でパリ協定の実現に向けたゼロエミッション社会への移行計画が進む中、インターネットの全体的なエネルギー消費の削減が急務となっています。

    また、欧州気候法では、ヨーロッパの経済と社会の2050年までのクライメイトニュートラル(気候中立)達成を定めており、温室効果ガスの排出量を2030年までに1990年の水準から55%以上削減するという目標を掲げています。米国やEUなどの監督機関は、気候変動に関連するリスクや機会だけではなく、事業やサプライチェーンに起因する炭素排出などの気候関連情報の開示を企業に義務付ける計画も発表しています。

    さらに、フォーチュン・グローバル500に含まれる企業のうち63%が、現時点ですでに2050年までの排出削減目標を掲げています。大企業か中小企業かに関わらず、ITインフラをはじめとしたサプライチェーン全体での炭素削減を目指す傾向が強まることが予想されます。

    Cloudflareの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)であるマシュー・プリンス(Matthew Prince)は、「ITインフラのカーボンフットプリントを削減するのは簡単です。クラウドに移行すればいいのです。Cloudflareは、世界でも最高水準の効率的なネットワークを構築し、1ワットのエネルギーと1台1台のサーバーを最大限に活用しています。企業は、Cloudflareを利用することで、セキュリティ、スピード、パフォーマンス、そしてイノベーションを犠牲にすることなく、持続可能性の面でも目標を達成できるのです」と述べています。

    Analysys Masonの調査によると、企業のネットワークサービスをオンプレミスのデバイスからCloudflareのサービスに切り替えることで、現在のネットワークの展開状況によっては二酸化炭素排出量を最大で96%削減できることが示されています。削減効果が最も大きいのは統合型サービスであり、複数のネットワーク機能を提供するサーバーの活用を増やすことで炭素効率が改善するとしています。

    オンプレミスのデバイスは複数のワークロードをホストするように設計されているため、常時電力を消費するものの、実際に稼働するのは1日のうち数時間、1週間のうち数日など限定的であり、使用量の低い時間が生じています。

    一方、クラウドインフラストラクチャは全世界に広がる数百万単位の利用者によって共有されるため、結果としてクラウドプロバイダーは経済的な運営を達成でき、ダウンタイムや非効率な作業が減り、排出量が抑えられることになります。

    さらに、Analysys Masonの調査から、クラウドデータセンターの高いPUE(電力使用効率)と、現地の電力供給網での発電に伴う炭素強度の差を活用することで、さらなる利益を獲得できる可能性が示唆されています。

新着