株式会社ツムラは、誰もが心身の不調を無理に我慢することなく、いつでも心地よく生きられる社会を目指して#OneMoreChoice プロジェクトに取り組んでいます。今回は全国15~35歳の男女10,000人の不調実態調査から、さらに生理やPMSの不調がある女子大学生1,000人を対象に深掘り調査を行いました。調査の結果、女子大学生の85.7%が生理・PMSの不調を我慢していることが分かりました。
不調の相談先に「信頼できる専門的なアドバイス」を求めている一方、実際の相談相手TOP3は「母親」「友人」「恋人」で、医師に相談できている割合は2割以下にとどまりました。さらに女子大学生にとっては、専門的なアドバイスを「無料」で受けられることも、生理・PMSの不調をはじめとした健康に関する悩みを解決する糸口となるようです。今回の調査結果について、霞が関ビル診療所の丸山 綾さんにコメントをいただきました。
生理やPMSの不調を自覚する女子大学生1,000人調査のトピックス
「我慢」の実態:生理やPMSの不調で85.7%が我慢している
・ 調査対象の女子大学生が我慢している症状は、1位「生理やPMSによる不調」(85.7%)、2位「頭痛」(51.8%)、3位「疲れ・だるさ」(44.6%)。
「相談」の実態:生理やPMSの不調 相談したいと思っても、医師に相談するのは2割以下
・生理やPMSの不調を「誰かに相談したい」(61.8%)が、それ以上に「相談しにくい」(68.6%)と感じている。
・生理やPMSについての相談相手TOP3、1位「母親」(74.9%)、2位「友人」(51.8%)、3位「恋人」(25.3%)
➡健康に関する内容でも、専門家以外への相談がほとんど。
生理やPMSの不調を相談しやすい条件:「無料」「専門性」「信頼感」
・生理やPMSの不調について相談しやすい条件は、「無料」「信頼できる」「親身になって」「専門的なアドバイス」。
全国の15歳〜35歳の男女10,000人調査
大学生のリテラシー:男子大学生の約半数が生理・PMSについて知識不足だと感じている
・女子大学生:「生理やPMSの対処法をもっと知りたい」(71.3%)、「生理やPMSが生じる仕組みを知りたい」(59.8%)。
・男子大学生:約半数が「学校等で学んだことがなく知識不足だと感じる」(47.1%)、「生理やPMSへの対処法をもっと知りたい」(44.3%)と回答し、関心の高さがうかがえる。
「生理やPMSに関する大学生の不調実態調査」調査概要
■実施時期:2022年12月23日(金)~ 12月24日(土)
■調査手法:インターネット調査
■調査対象:調査①全国の15歳〜35歳の男女10,000人(人口構成比に合わせて回収)、調査②「生理」「PMS」いずれかの不調を自覚する大学生の女性1,000人
■調査委託先:マクロミル
★構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
本調査は「生理」「PMS」いずれかの不調を自覚し「女性」と自認する大学生を対象としておりますが、ツムラは性自認を問わず誰もが心地よく生きられる健やかな社会を目指しています。
生理やPMSの不調がある女子大学生1,000人に聞く、我慢の実態
全国の15歳〜35歳の男女10,000人対象調査
15歳〜35歳の男女10,000人のうち、4人に3人が「不調」があるが、半数は「相談できていない」
15歳〜35歳の男女10,000人に心身の不調に関して聞きました。すると、全体の73.0%が「不調がある」と答えていますが[図1]、その不調について誰かに相談したことがあるのは半数で、48.1%は「相談できていない」と答えました[図2]。不調があっても相談できないままの人が多いことが浮かび上がってきました。
[図1]不調を感じる[図2]不調の相談
生理やPMSいずれかの不調を自覚する大学生の女性1,000人対象調査
生理やPMSの不調がある女子大学生1,000人のうち、85.7%が生理やPMS不調で「我慢」している
ここからは、生理やPMSの不調がある女子大学生1,000人を対象に調査を行いました。日常生活で感じる不調のうち、我慢したことがある不調は、「生理やPMSによる症状※」が85.7%と最も多く、2位の「頭痛」(51.8%)より30%以上も高い結果となり、特に生理やPMSの不調では、多くの女子大学生が我慢しながら生活している現状が明らかになりました。[図3]。
※「生理やPMSの症状」には ●生理前の精神的な症状(イライラ、不安、憂うつ、意欲・集中力の低下など)や身体的な症状(頭痛、腰痛、腹痛、倦怠感、眠気など) ●生理中の精神的な症状(イライラ、意欲・集中力の低下、不安、憂うつなど)や身体的な症状(頭痛、腰痛、腹痛、倦怠感、むくみ、 肌荒れ、貧血など)●生理中の経血量が多い・少ない ●生理不順(生理周期や生理の期間が短い・長いなど) の症状が含まれます。
[図3] 我慢したことがある不調
生理やPMSの不調がある女子大学生の9割以上が、我慢しながら大学に行き授業を受けている
生理やPMSの不調がある大学生のうち、生理で我慢したことがあると答えた721人に我慢したシーンを聞くと、生理がツライ時に「大学や学校に行った」(95.7%)、「授業を受けた」(93.9%)、「アルバイトに行った」(84.5%)などが挙げられ、普段の生活の中で「元気なふり」(79.5%)をしながら、「友人と遊ぶ」(79.2%)、「部活・サークルに行く」(74.1%)といった様子がうかがえます[図4]。
[図4]生理がツライ時に我慢していること
生理・PMSの不調を我慢したエピソード
授業や就活で我慢した経験
・大事な授業がある時や時間がない時にトイレに行くのを我慢した。
・授業時、教室でのエアコンが寒く、生理痛による腹痛を我慢した。
・生理特有の気絶に近い眠気などによって授業中に寝てしまうことがありますが、原因は分かっているので復習でなんとかしています。
・授業を休むと、単位取得に影響が出てしまう。学校に生理休暇はなく、普通の体調不良として欠席扱いになってしまう。
・大学受験の第1志望の日が生理2日目と重なった。ストレスで生理痛が重くなる体質なので非常に辛かったが、生理痛に効く薬を飲んで眠くなるよりマシだと思って我慢した。
・大学では、テスト期間に生理が重なることが多く、テスト前にはPMSで精神的に参ってしまい、何度も泣いた経験があります。
アルバイトで我慢した経験
・アルバイトを休むと賃金に影響が出るので、いつも痛み止めを服用して出勤していた。
・生理でも出勤している女性は多くいるので、自分だけが生理を理由に休むと信頼が損なわれるのではないかと考え、我慢した。
・アルバイトを休みたかったが、店長や社員が男性ばかりだったため言いにくかったので休まず出勤した。
部活や体育の授業で我慢した経験
・学生時代は毎日部活があったので毎月休むわけにもいかず、我慢せざるを得なかった。顧問が男性なこともあり、言えなかった。
・生理2日目が体育の授業でシャトルランに参加、先生がノルマを言ってきたため、ノルマを達成すべく頑張ったが、体育の授業を終えた後、貧血で保健室に直行する羽目になった。
・中学生の時は女子が一人のみの運動部に所属しており、生理中でも不調を共有できる仲間がいなかったため練習や合宿、大会などの時に生理でも通常通り参加し、経血が気持ち悪かったり腹痛や腰痛があっても多少は我慢して元気に振る舞っていた。
・部活の先輩が「生理で休むなんて...」と言っているのを聞いたことがあるので、休みづらかった。
デートや対人関係で我慢した経験
・デートの際、前から楽しみにしていたお出かけだったので、自分が生理のせいで辛いのを相手に見せると気を悪くさせると思ったから我慢した。
・生理を周囲に気付かれたくなく具合の悪さを隠している。隠せないほど悪い日は二日酔いや食あたりっぽいなどうそをつく。
・生理前になると肌が荒れ、食欲や睡眠欲が止められなくなり、イライラしたり疲れやすかったりして辛い。でもそれを周りに伝えたら、なんて思われるか分からなかったので我慢した。
・精神的にものすごく不安定になりますが、友人や人前ではなるべく出さないよう心がけたり、その中で試験や部活動などさまざまなイベント等があり、より自己肯定感も低くなり、イライラ等も増えどうすることも治すこともできないので我慢。
生理やPMSの不調がある大学生1,000人に聞く、相談の実態
生理やPMSの不調について、相談したいと思っていても「相談しにくい」と感じてしまう
生理やPMSの不調について、61.8%が「誰かに相談したい」と答えていますが、それを上回る68.6%が「相談しにくい」と感じています[図5]。相談しにくいと思う理由を聞くと、「相談しても解決しなさそう」(51.6%)、相手に「気を遣わせそう」(51.0%)、「困らせそう」(39.4%)などの思いがあり、なかなか相談できないでいるようです[図6]。
[図5]生理やPMSの不調について [図6]生理やPMSの不調を相談しにくい理由
相談したいのに相談しにくい、生理やPMSの不調があっても3人に1人は誰にも「相談できない」まま
生理やPMSの不調がある大学生のうち、不調に関して実際に相談できているのは65.7%でしたが、3人に1人(34.3%)は誰にも相談していませんでした[図7]。相談したいのに相談できない、そんな揺れる気持ちが表れているようです。また、生理やPMSの不調を相談する相手は「母親」(74.9%)や「友人」(51.8%)が多いことが分かりました[図8]。生理やPMSの不調を相談したいのに相談できない大学生がおり、相談できている場合でも、多くは「母親」「友人」など身近な人が相手であるようです。誰に、何を、どのように相談していいのか分からないために、現状を我慢していることが考えられます。
[図7]不調の相談 [図8]生理・PMSの不調についての相談相手TOP3
生理やPMSについて、「無料」で「信頼できる人」に「専門的なアドバイス」を受けたい
医療機関に限らず、どんなところがあれば生理やPMSに関して相談しやすいかと聞くと、「無料」(50.4%)、「信頼できる相手」(44.1%)、「親身になってくれる」(38.5%)、「専門的なアドバイスをしてくれる」(38.2%)、「費用が安い」(36.0%)などが上位に挙げられました[図9]。専門家からの正しいアドバイスを求めつつも、費用の安さも重視されており、無料で専門家に相談できる場所が求められていることが分かりました。
[図9]生理やPMSについて相談しやすい条件
生理やPMSの不調がある大学生1,000人に聞く、婦人科受診の実態
生理やPMSの不調があっても、婦人科を「受診したことがない」人は7割
生理やPMSの不調がある大学生の半数近くが「婦人科の受診を検討したことはない」(51.0%)と答えました[図10]。また、婦人科の受診経験を聞くと、半数が「ためらうこともなく受診しなかった」(43.4%)、4人に1人は「ためらった結果、受診しなかった」(26.7%)と答えており、7割(70.1%)は受診しないままです。婦人科を受診した大学生は約3割(29.9%)いますが、そのうち半数は「ためらいつつ受診」(16.5%)しています[図11]。生理やPMSの不調を抱えていても、大学生にとって婦人科の受診はかなりハードルが高いようです。
[図10]婦人科受診の検討
[図11]婦人科の受診経験
大学生の生理・PMSに対するリテラシーの実態
▼全国の15歳〜35歳の男女10,000人対象調査
男子学生の約半数が、生理・PMSについて「知識不足」と感じている 男女とも大学生は、「生理やPMSの対処法や仕組みについて知りたい」意欲が高い
全国の15歳〜35歳の男女10,000人を対象に行った調査で、生理やPMSなどの症状は生活に影響するかと聞くと、7割が「影響する」(71.4%)と答えました[図12]。日常生活への影響が大きい生理やPMSですが、その知識について聞くと、女子大学生の71.3%が「生理やPMSの対処法をもっと知りたい」、59.8%が「生理やPMSが生じる仕組みを知りたい」と答えました。同様の質問を男子大学生にもすると、半数近くが「学校等で学んだことがなく知識不足だと感じる」(47.1%)と答え、 「生理やPMSへの対処法をもっと知りたい」(44.3%)と関心を示しています。特に男性では、男性全体よりも男子大学生の方が関心が高い様子がうかがわれます[図13]。
[図12]生理やPMSの症状は日々の生活に影響
[図13]生理やPMSに関するリテラシー
婦人科医・丸山綾さんに聞く、「大学生のための婦人科との付き合い方」
生理やPMSを「我慢」で対処している大学生
調査結果から、生理やPMSで悩む大学生の多くが、我慢しながら学校やバイトをこなしている様子が目に浮かびます。月経は自然のものであり、症状がきつくても病気と認識されない、という背景が根強いのだと思います。月経・妊娠・出産・不妊、性教育などは、まずは義務教育等で公平に全員に正しい知識を持てるようにすべきですね。ただその一方で、自らネットなどで情報収集し、婦人科を受診し、低用量ピルなどでコントロールできている10代・20代もいます。社会が変わるには時間がかかることもあり、まずは自分で積極的に情報収集し、解決しようとするフットワークの軽さも必要かもしれません。
我慢の影に「病気」の可能性も 自己判断ではなくまずは婦人科の受診を
生理やPMSの悩みがあっても「我慢で乗り切れる」「毎回ひどいわけではない」からと、婦人科を受診しない大学生も多いようですが、これらの症状には、しばしば病気が隠れている場合があります。具体的には、重い月経痛は「子宮内膜症」の可能性があり、放置しておくと症状の悪化だけでなく、不妊の原因となることも知られています。最近では10代の子宮内膜症も増えていますが、早期の段階で見つかれば内服薬で治療でき、悪化も予防可能です。月経痛を鎮痛剤でコントロールできているという方でも、診察すると子宮内膜症である場合も少なくないので、自己判断は禁物です。とくに月経時に痛み止めを必要とする方は、年齢にかかわらず一度婦人科での診察を受けてください。また月経前に起こる極端な落ち込み等について、PMSやPMDD※だと思っていても、月経開始後も症状が持続する場合うつ病など 隠れたメンタル系の疾患の可能性もあるので、一度婦人科やメンタルクリニックの受診をお勧めします。
※PMSやPMDD:月経が始まる2週間前ごろから心身が不安定でとてもつらい状態が「PMS(月経前症候群)」です。その中で抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラなど心の不安定さが際立って強い症状が「PMDD」(月経前不快気分障害)です。
月経周期のどの時期にどんな症状があるかをメモして受診するとよりスムーズです
婦人科の受診には、内診が常にセットで行われる、と思っている方が多いようですが、相談内容によっては内診をしない場合もあります。PMSの相談の場合、必ずしも内診が必要なわけではありません。月経痛が強い場合は、子宮内膜症など病気の有無を判定するために 内診(および経膣エコー検査)が必要になりますが、抵抗がある場合は相談してください。代替検査の提案や、状況によっては治療を 先行することも考えられます。婦人科を受診する時は、月経周期の中でどの時期に、どんな症状があるのかご自身のパターンを記録しておくと診察がスムーズですね。今は月経痛やPMSに対し、低用量ピルや漢方薬など効果の高い薬があります。上手に活用することで月経トラブルをゼロに近づけることができるので、ぜひ一度相談に来てみてください。
月経トラブルは治療すべき「病気」です 痛みや不調は「我慢」しなくていいんです
月経トラブルは「誰にでもあって我慢すべきもの」ではなく、治療対象になる病気であり、薬などをうまく利用することで痛みや不調を改善できるものだと知ってください。日常生活に支障があるならば我慢する必要はないのです。薬以外にも、生活上の工夫でトラブルに対処できるコツもあります。10代・20代の若い世代にとって、医療機関の受診はなじみのないものかもしれませんが、女性にとって月経トラブルは 月1回という高頻度でQOL(生活の質)を低下させ、将来の妊娠の妨げになるような病気が10代・20代でも発症する傾向が見られます。婦人科のかかりつけ医を持ち、定期的に子宮・卵巣の病気の有無をチェックしたり、ささいな体調不良でも気軽に相談できることは、10代・20代の方たちが日常を快適に過ごすためにも、将来のためにも、とても役に立つと思います。海外には、思春期の体や性の悩みを気軽かつ安価に医師などの専門家に相談できる「ユースクリニック」がありますが、日本にはほとんどないのが現状です。家族にも話しづらく一人で悩みを抱え、インターネット上の不確かな情報に振り回されてしまいがちですが、相談しやすく気軽に行けるような場所があれば、悩みや不調の解決の糸口となり、とても有益だと思います。今回のコロナ禍で、オンライン診療によるピルの処方など、今までにはなかった仕組みも増えてきました。積極的に情報収集して、ご自身に合う方法を見つけていただきたいと思います。
丸山 綾(まるやま・あや)さん 「霞が関ビル診療所」 婦人科医
1999年、日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院、丸の内クリニックなどを経て、現職。専門は産婦人科一般、漢方診療。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医。
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