公益財団法人1more Baby応援団(所在地:東京都港区、理事長:吉村泰典)は、日本から少子化問題をなくしたいという想いのもと、このたび、「夫婦の出産意識調査2022」を実施、その結果をご報告いたします。 本調査は2013年から調査を開始し、今年で10年目となります。今回は、既婚者2,955名に加え、40代で出産を経験した女性409名に対し、調査を実施しています。
*本リリースでは、単年の調査結果のグラフに調査対象者の説明がない場合は既婚男女2,955名の結果としています。経年推移の調査結果のグラフには、本年度の調査対象者数のみ記載しています。
*本リリース内のグラフの各数値は小数点第二位で四捨五入しているため、SAの調査結果であっても合計値が100%にならない場合がございます。
【トピックス】
1.「2人目の壁※1」を感じる方の割合が2014年以降最高値に
「『2人目の壁』は存在すると思う」75.8%
女性「『2人目の壁』は存在すると思う」78.6%、男性「『2人目の壁』は存在すると思う」68.0%
「『2人目の壁』は存在すると思う」の数値は同様の設問で調査を開始した2014年以降横ばいで推移していたが、本年は75.8%で過去最高値となった。また、男女間では10.6%の開きがあった。また、「2人目の壁」を感じる理由について、「経済的な理由」は減少傾向にあるものの、「心理的な理由」が増加傾向にあり、新型コロナウイルスの感染拡大など不安定な社会による影響もみられる。
※1「生活費や教育費に関連した家計の見通しや、仕事等の環境、年齢等を考慮し、第二子以後の出産をためらうこと」を指します
2.「理想の子どもの人数が減少した」が「増加した」の約2倍。結婚時と出産時に現実に直面
「理想の子どもの人数が減った」28.9%、「理想の子どもの人数が増えた」14.8%
「理想の子どもの人数が減少した」理由は「体力面」34.7%、「収入面」33.2%
「理想の子どもの人数が減った」が「増えた」を大きく上回った。また、理想の子どもの数が減少するタイミングとしては「結婚した時」「子どもができた時」が上位を占めた。また、各タイミング別にみると、前者では収入面、後者では日常生活と子育ての両立に悩む方が多いことがわかった。
3.「今後出産すると思う/したいと思う」が10年間で最低値に。コロナ禍以降、減少傾向
「今後出産する/したいと思う」47.1%
「今後出産しないと思う」理由は「経済的不安」が62.4%
一方、子どもがいない既婚女性は「心理的な不安」が62.1%
「今後出産する/したいと思う」の数値は昨年度から減少傾向にあり、本年度は過去最低値となった。また、「今後出産をしないと思う」理由は「経済的不安」が最も多く、新型コロナウイルス感染拡大などによる不安定な社会情勢の影響がみられる。一方、子どもがいない既婚女性では「心理的な不安」が最も多く、62.1%となった。
4.40代母親は心理的な負担が大きい傾向に
【40代母親】妊娠・出産・育児で大変だったこと「年齢を考え、子どもに対して申し訳ない」45.0%
40代母親は、39歳以下母親と比べて、妊娠・出産・育児における心理的な不安が高い傾向にあることがわかった。
5.2人以上の子どもを出産した方の幸福度は過去10年を通して高い傾向
「2人以上の子どもを出産して満足」95.7%
その理由は「家庭や子どもへの好影響」
2人以上の子どもを出産した方の幸福度は、2013年以降90%後半を推移しており、本年度も95.7%と高い数値となった。その理由は、「にぎやかになった」「子ども同士で遊べるようになった/成長した」など、家庭への好影響である傾向がみられた。
6.「子どもがいない」家庭では「自分は親として十分ではない」と思っている方が多い
「子どもを育てるにあたって、ご自身は親として十分だと思いますか?」
「子どもがいない」家庭は各項目において子どもがいる家庭よりも数値が低く、特に「親としての責任・覚悟」は子どもがいる家庭よりも15.0%以上低いことがわかった。
【本調査結果を受けて】
子育て世代の出産や子育てに対する意識を毎年定点的に把握することを目的とした本調査は、今年で10年目となり、一つの節目を迎えました。この10年間、待機児童問題をきっかけとした保育環境の改善、女性の就業率の向上や幼保無償化、育児休業給付金の支給率の引き上げなどが行われ、子育て世代を取り巻く環境は大きく変わりました。
また、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって生活様式が一変し、図らずも働き方改革が急速に進んだことによって、家族で過ごす時間が増えた方も多くいるのではないでしょうか。
このような状況の中で、子育て世代の意識はどのように変化したのでしょうか。「理想の子どもの人数」については、今年の調査で若干上昇したものの、10年間の推移を見てみると減少傾向にあります。また、2人目以上の出産を躊躇する「2人目の壁」を感じている人の割合は、今年の調査では過去最高となりました。また、子どもがいない夫婦の出産意向が、心理的な問題によって低いことも浮き彫りになりました。「2人目の壁」を感じる要因を見てみると、経済的な問題などは緩和されつつも高止まりし、一方では心理的な理由が増加傾向にあります。様々な制度が開始されつつも、子育て世代の意識の改善には大きく寄与していないことが分かります。その要因は、例えば女性の就業率が向上したものの子育て世代の女性は非正規雇用が多く賃金が低いことや、育休制度が改善しても今なお男性が利用し難い風土が残されていることなど、制度が活かされていない点が挙げられます。また、児童手当の特例給付が廃止されることが決定するなど、支援制度の継続性や不平等感に不安を抱え、長期的な安心感を得づらい子育て世代も多いのではないでしょうか。
今の子育て世代だけでなく、さらに若い世代の方々が安心して子どもを産み育てられる環境を提供するためには、全ての子どもが平等に、長期にわたって安心して利用できる制度の確立や、制度が活かされる風土の醸成が必要となります。子育てしやすい社会は、誰もが暮らしやすい社会であるとの認識の下、政府や自治体、企業、地域におけるさらなる取り組みが必要であると考えます。
公益財団法人1 more Baby応援団
専務理事 秋山開
【調査対象】
■既婚者 2,955サンプル
・対象:既婚女性20-39歳、既婚男性20-49歳(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下)
・割付条件①:全国各都道府県均一回収(各県63名)
・既婚子なし/既婚子1人/既婚子2人以上 それぞれを均等回収
⇒47(都道府県数)×3(子ども条件)=141セルのそれぞれを21名ずつ、計2,955名回収
回収後①全既婚者における各都道府県の構成比、②既婚者の子どもの人数の構成比を国勢調査より算出しウエイトバックをかけた。
■40代での出産者409サンプルの条件
・(現在40代かつ40代で第一子出産:203ss)+(現在40代かつ40代で第二子出産:206ss)=2セル回収。
■調査方法:インターネット
本リリースでは、単年の調査結果のグラフに調査対象者の説明がない場合は既婚男女2,955名の結果としています。経年推移の調査結果のグラフには、本年度の調査対象者数のみ記載しています。
■調査実施期間
事前調査 : 2022年4月6日(水)~4月12日(火)
本調査 : 2022年4月8日(金)~4月11日(月)
■調査主体:公益財団法人1 more Baby応援団
■調査委託先:株式会社H.M.マーケティングリサーチ
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