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  • サイエンティフィック・リポーツ誌に掲載された画期的な研究、遺伝子編集微生物が農家に新たな窒素供給源をもたらすことを実証

  • 2024/12/10 01:39 公開  Pivot Bio, Inc
  • 遺伝子編集微生物が商業生産においてトウモロコシ農家の窒素供給の実質的割合を担うことを示す初の査読付きエビデンス 

    バークレー(カリフォルニア州), 2024年12月10日 /PRNewswire/ -- 本日サイエンティフィック・リポーツ誌に掲載された査読付き研究論文により、作物への窒素供給における100年続く手法に革命をもたらす可能性のある新技術が紹介されました。本研究は、ウィスコンシン大学マディソン校、パデュー大学、そして持続可能な農業のリーディングカンパニーであるピボット・バイオ(Pivot Bio)の研究者たちによる共同研究であり、遺伝子編集により微生物の大気中の窒素固定能力が向上し、穀物作物へ窒素を移転することを実証する初めてのエビデンスを提示しました。

    A scientist at Pivot Bio scraping corn roots to measure the colonization of Pivot Bio's nitrogen producing microbe.
    A scientist at Pivot Bio scraping corn roots to measure the colonization of Pivot Bio's nitrogen producing microbe.

    研究者たちは同位体標識窒素を用いて、空気中の窒素がトウモロコシの葉のクロロフィルに到達するまでを追跡し、遺伝子編集された微生物が空気中の窒素を固定したことを証明しました。圃場試験では、これらの微生物が1エーカーあたり最大40ポンドの合成窒素肥料と同等の量の窒素を固定・供給し、同等の収量を達成できることも示されました。

    窒素肥料の効果を高めることは、長年の課題となっています。「根本的な問題は、土壌・植物・大気のシステムが非常に複雑であることです。」と今回の研究には関与していないミシガン州立大学環境科学教授のブルーノ・バッソ博士は説明しています。予測不可能な天候により、植物の需要に対して適切な栄養供給が難しく、作物が必要とする窒素量や、栄養素が土壌中にとどまるかどうかを正確に判断することが困難になります。「私の研究室は、農家を支援するために、高度なセンサー技術やコンピューターモデルを活用し、農地の理解を深め、窒素肥料の使用効率を高めることで、利益の向上と地下水への栄養素流出や大気への温室効果ガス排出といった環境への影響の削減に取り組んできました。」

    自然界に存在する特別な細菌であるジアゾトロフは、大気中の窒素ガスをアミノ酸やタンパク質の構成要素であるアンモニウムに変換する独自の能力を持っています。このプロセスは一般に生物的窒素固定(BNF)として知られ、合成窒素肥料が発明される以前、何千年もの間、作物にとって主要な窒素栄養源となっていました。

    「土壌に自然に存在するジアゾトロフは、長期間にわたって高濃度の窒素にさらされると、BNFを行う能力を失ってしまいます。これは進化的な反応であり、BNFは非常にエネルギーを消費するプロセスであるため、エネルギーを節約するためのものです。」と今回の研究の共著者であるウィスコンシン大学マディソン校細菌学および植物・農業生態系科学の教授であるジャン・ミシェル・アネ博士は説明しています。「合成肥料が施された土壌のような高窒素環境でも、これらの細菌が高いレベルのBNFを維持できるようにする必要があります

    ピボット・バイオの研究者たちは、非遺伝子組換え技術を用いて遺伝子編集された微生物を開発し、高窒素環境下でもジアゾトロフが作物に窒素を供給し続けられるようにしました。「遺伝子編集により、微生物が周囲の窒素を感知しないようにすることで、アンモニウムの固定を継続し、作物の根系に直接供給します。とピボット・バイオのチーフイノベーションオフィサーで共同創業者、そして論文の共著者であるカーステン・テム博士は述べています。また、固定した窒素を自ら蓄えずに作物へ確実に移転できるよう、他の遺伝子編集も施しました。

    この論文は、実験室および圃場試験区において、このプロセスが実際に起こっていることを示すエビデンスを提示しています。これは、遺伝子編集された窒素固定微生物を含むピボット・バイオの第2世代商業製品「PROVEN® 40」に関する初の査読付き研究論文でもあります。

    「窒素肥料は、過去100年間で最も重要な発明の一つであり、今後の世界の発展および食料安全保障に不可欠な存在となるでしょう。しかし、私たちは、窒素肥料はより効果的に活用できると考えています。」とテム博士は述べました。「ピボット・バイオは、遺伝子編集された微生物を用いて窒素の効率を高め、合成肥料による環境への損失を抑えることで、農業の生産性向上に注力しています。」

    研究者たちは、実地試験においてさまざまな同位体実験を用い、現実の環境下での窒素固定を再度実証するとともに、植物内の窒素量を定量化しました。また、農家から数百のサンプルを収集しました。これらの農家は、1エーカーあたり35~40ポンドの窒素肥料を減らし、その代わりにピボット・バイオの「PROVEN 40」を使用しました。研究者たちは、平均して「PROVEN 40」を使用した植物がシーズン初期において窒素含有量が高く、合成肥料の使用量が少なかったにもかかわらず、収量に悪影響が見られなかったことを発見しました。

    「窒素は大気から微生物、そして植物へと移行するため、その追跡は非常に難しいです。私たちは、大気由来の窒素原子と土壌由来の窒素原子の同位体特性に依存しています。」とアネ博士は説明します。これらの測定により、研究者たちは実験室でトウモロコシの葉のクロロフィル内に同位体標識された窒素を検出しました。これは、微生物が植物に窒素を供給したことを示す証拠です。

    「この広範囲にわたる研究は有望です。なぜなら、生産性を損なうことなく窒素肥料の削減を開始できることを意味するからです。これは、農家と環境の両方に利益をもたらすものです。」とテム博士は述べました。「この技術は非常にスケーラブルであるため、とても期待が持てます。当社の製品は、5年前の商業化以来、すでに米国で1,300万エーカー以上の土地で使用されており、これは実際の影響をもたらしています。」

    バッソ博士も同意見です。この技術がさらに改善され、作物への窒素供給量が増加し、環境汚染や農業全体のカーボンフットプリントの削減につながることが実証されれば、窒素管理における革新的な転機となる可能性があります。作物収量を支えるために、合成肥料をより効率的で持続可能な窒素供給源に置き換えれば置き換えるほど、農家、地域社会、そして環境にとってより良い結果が得られます。」

    論文全文はサイエンティフィック・リポーツ誌に掲載されています。2011年に創刊されたサイエンティフィック・リポーツ誌は、ネイチャーポートフォリオ誌によるオープンアクセスジャーナルであり、自然科学および臨床科学分野における注目すべき独創的な研究を掲載し、厳格な査読プロセスで知られています。

    ピボット・バイオについて
    ピボット・バイオは、持続可能な農業のリーディング企業であり、自然の力を活用した特許取得済みの作物栄養技術を提供し、増大する不確実性の中でも、世界が必要とする食糧を安定的かつ生産的に栽培できるよう農家を支援しています。同社の製品は現在北米で提供されており、まもなくブラジルでも展開予定で、画期的なイノベーションと評価されています。これらの製品は、業界で最も有望な気候変動対策の一つとされています。同社の窒素は、天候に左右されず、取り扱いが安全で、浸出せず、一酸化二窒素の排出にも寄与しません。ピボット・バイオは、タイム誌による毎年恒例の「最も優れた発明品」リストに3度選出され、ファスト・カンパニーの「世界を変えるアイデア」および「世界で最も革新的な企業50社」リスト、CNBCの「ディスラプター(破壊的民間企業)50社」リスト、フォーチュン誌の「社会貢献を推進するスタートアップ企業20社」リスト、そしてMITテクノロジーレビューの「注目すべき気候テック企業15社」にも選ばれています。詳細については、PivotBio.com をご覧ください。

    写真 - https://mma.prnasia.com/media2/2556892/Pivot_Bio_Inc.jpg

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