今年5月にお伝えした『豊岡鞄とつくる「夢のかばん」プロジェクト』を覚えていますか?1200年の鞄づくりの歴史をもちながら、他の伝統工芸品や地方のものづくり産業と同様に昨今の少子高齢化の進行を原因とする後継者不足が問題になっている豊岡鞄。そこで子どもや未来のものづくりの担い手に、ものづくりの魅力を伝え、その楽しさを感じてほしいという思いを込めて兵庫県鞄工業組合が立ち上げたのが『豊岡鞄とつくる「夢のかばん」プロジェクト』です。
同プロジェクトは、全国各地でのワークショップやSNSを通じて募った18歳以下の子どもデザイナーが描いた「夢のかばん」の中から選ばれた作品を実際に鞄にするというもの。結果、応募は173名にも及び、見事選ばれた作品が完成。11月29日にはKITTE丸の内にて贈呈式が開催されました。
製作を担当した株式会社足立の足立さん(右)のコメント
「製作前の打ち合わせで話していくうちに、全体を恐竜にしてほしいという希望が出てきて、尻尾や顔、手、足が付きました。また恐竜が口を開けられるようにしたり、ポケットから顔を出したりと、いろんなところで恐竜が感じられる鞄になりました。キーホルダーもしゅんさんがデザインしてくれたイラストを元に作りました」
製作を担当したコニー株式会社の玉那覇さん(右)のコメント
「最初は生地で作ってみましたが、ちょっと高級感のある豊岡鞄らしさを出していきたいと素材を革に変えてみました。また、めぐみさんがお父さん、お母さんと3人で使えるデザインを描いていたので、取り分けて使えるようにしました」
製作を担当した株式会社ハシモトの橋本さん(右)のコメント
「50cmの中で、いかにラブカらしさを出すかを研究するために、たくさん画像を集めました。また、目は緑にとか、頭を固くしてほしいといった要望に応えるため、使ったことのないレジンで作ってみたり、頭の形の綿袋を手縫いで固く締めていきました」
製作を担当した株式会社タイムバックスの坂田さん(右)のコメント
「いちと君の絵をまずパッと見たときに、すごくググッと入ってきて作りたい! と思いました。一つひとつ色が違って本当にカラフルで素敵な絵だったので、それを立体にしたときに喜んでもらえる、驚いてもらえるようなものにしようと思いました。観覧車は全部取り外せるようになっていて、別の場所に取り換えられる作りになっています。また、いちと君と会ったときに描いてくれた絵はポケットにプリントしました」
製作を担当したマスミ鞄嚢株式会社の植村さん(右)のコメント
「豊岡にりんさんが来たときに、すでに自分でこのバッグを段ボールで作って持ってきてくれたんです。色も綺麗に塗られていて、これはそのまま作らないとダメだなと思いました。こちらでアレンジしたりとかはせず、もう絵の通りに作ろうと。職人は大変でしたが、なんとか近いものができたのではないかと感じています」
製作を担当した株式会社由利の由利さん(右)のコメント
「地球にやさしい記事を使った鞄をぜひ作りたいと思ったのが最初のきっかけです。みゆうさんが一番使いたかったクラフトテープは紙でできているので、すぐ切れてしまうんじゃないかと心配しましたが、会社の先輩が頭を捻りながらなんとか作り上げてくれました」
製作を担当した株式会社モリタの谷口さん(右)のコメント
「なお君が野球好き、なかでも阪神タイガースが好きということで黄色のカラーを選びました。苦労したのは指の間隔です。狭すぎると縫製できないので、そこを何度も試行錯誤して作りました」
製作を担当した株式会社ナオトの棚橋さん(右)のコメント
「あづきさんが描いたデザインに私が一目惚れしまして。そしてコンセプトの内容がすごくびっしりと書き込まれていて、これはぜひ作りたいと思いました。実際にあづきさんと会ったときにデザインの形や生地などをその場で決めてもらえたので、これは忠実に作らなければいけないと感じて、機能性のあるファスナーや2段ポケットも絵の通りに再現してみました。豊岡を代表するコウノトリがデザインのモチーフなので、いかに鳥らしく見せるかについては一番工夫しました」
ネット配信されるプロジェクトムービーの音楽を制作したZINさん(左)とMori Zentaroさんも応援に駆けつけました。
絵の上手い下手は関係なく、子どもの頃に欲しいものの絵を描いた記憶は誰にでもあるはず。とくに鞄は物心ついたときから身近にあるものなので、「こんなカバンがほしい、あんなカバンがほしい」と子どもでも思い浮かべやすかったかもしれませんね。今回のプロジェクトで見事に選ばれた8名は、デザインしただけでなく本物の職人さんといっしょに自分だけの鞄を作り上げたという記憶が鮮明に残るでしょう。そして、そのときの時間は楽しかっただけでなく、自分の中でもモノづくりの原点になるのではないでしょうか。そう考えると、今回のプロジェクトのミッションは見事に果たされたのかもしれません。この豊岡鞄の事例は、同じように後継者不足に悩まされている全国各地の伝統産業にも応用できる部分がきっとあるはずなので、伝統が途絶えてしまう前にトライしてもらいたいなと感じました。
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